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これは、本来棺桶にあるはずの死体(実体)が、映像という虚像として存在する作品である。人間は死(とその後の葬儀)によって物質的にこの世からいなくなる。コミュニケーションをとれなくなる。しかし、それが親しくない人間であればあるほど、その感覚はリアルではない。ひとつの「死」という記号でしかなく、そこにははっきりとした実感は伴わない。いや、親しい人であってもそうかもしれない。そこにいないという実感はなかなか掴めないものかもしれない。
映像の中の死というのは、いかにリアリティーを持っていたとしても現実ではない。たとえ実際の死を写したとしても、当たり前だがそこに死体があるのではなく、死という事象が投影されているにすぎない。
死後もその人間の存在は心の中に残り続ける。生前の故人を偲び、思い出し、自分に残された感覚を噛み締める。それは実体の存在ではなく、感覚の存在であり、生前の人間が実体を伴ったものだとするならば、虚像の人物だと言えるだろう。その虚像の人物が、さも実体であるかのような形相で棺桶の中に映像として存在している。もしかしたら、その人物は生きているように動き出すかもしれない。しかしいくら映像で生きていてもそこに実体はなく、記憶と同様の虚像としてしか映し出されない。その生と死/実体と虚像の領域の行き来をこの作品では表現してゆく。
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